飲食店のPL(損益計算)を見ると、必ず目立つのが 「人件費」 です。
原価、家賃と並び、もっとも重い支出のひとつ。
だからこそ、多くの経営者がこう考えます。
「人件費を下げたい。効率化したい。」
しかし、私はまったく逆だと考えています。
人件費は“経費”ではなく“投資”です。
人件費を削るほど、「売上」は削られます。
人件費を投資すると、「利益」が増えます。
なぜなら、飲食店の売上は 人が作るからです。
どれだけシステム化が進んでも、提供するのは“人の温度”です。
■ 「辞めない」という最大の利益
一般的に、スタッフが辞めると発生するコストはこうです。
- 募集費用
- 採用面談の時間
- 教育コスト
- 戦力化までのロス
- 辞めた後の穴埋めシフト
これらを合計すると、一人辞めるだけで50~100万円以上の損失 になります。
逆に、
✅ スタッフが辞めない=損失ゼロ、教育効果は蓄積
です。
スタッフが長く働けば、作業スピードが上がり、
接客の質が安定し、常連が増えます。
つまり、
離職率の低さは利益率の高さです。
■ 給料で動くスタッフはいない
スタッフが辞める理由の統計データがあります。
✅ 1位:人間関係
✅ 2位:評価されていない
✅ 3位:方向性が分からない
給料はその次です。
彼らが求めているのは 金額ではなく「認知」です。
- 自分は役に立っているのか
- 自分の存在は必要とされているのか
- 自分はここにいていいのか
この感覚があれば、給料が上がらなくても辞めません。
■ 「育成」ではなく「成長プロセス設計」
飲食店の教育でありがちなのが、
「背中を見て覚えろ」
ですが、それは 放置 の言い換えです。
優れた経営者は 成長プロセスを設計 しています。
- 最初の3日で「できること」を与える
- 1週間で「任せる範囲」を決める
- 1か月で「役割」を与える
人は 役割がある場所から離れません。
逆に、
「とりあえず入ってみて」
「できたらやって」
は、スタッフを孤独にします。
■ 給料よりも「居場所の価値」
離職を防ぐ最強の言葉があります。
✅ 「あなたが必要です。」
人は 役に立っていると感じた瞬間、辞めなくなります。
これは心理学で言う「承認欲求」の満足です。
- 褒めるのではなく、
- ありがとうと言うのでもなく、
“必要だ” と伝えること。
それが人件費を利益に変える最大の方法です。
■ 結論
人件費はコストではなく、未来への投資です。
スタッフが辞めない店は、
売上を追わなくても、売上が追いかけてきます。

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